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医学ニュース

医学系のニュースを見ているとかなり妙に感じられるものによく出会う。この数日に出会った気になるニュースをいくつか。

「チョコ好き妊婦の子供はよく笑って元気が良い・・・女性305人とその子供(生後6ヶ月)を対象にした調査から「妊娠中にチョコレートを食べていた女性の子供はよく笑い、活気がある」という結果となりました。」

このタイプのニュースはかなり頻繁に見るが、どういう発想でやってるのだろう?
おそらくは様々な生活習慣のアンケート結果と子供の笑う頻度の相関関係を調べたら、チョコレートが引っかかったということかな。あるいはチョコレートの何かいい作用を見つけようと探していたら、子供の笑う頻度が引っかかってきたか。

元の論文を読んだ訳でもないのにあれこれ想像して批判するのはよくないが、まあ、ここの読者も限られていると思うので勝手に意見を書かせてもらおう。
それは違うぞ、という部分がありましたら何なりと。

こういう話で気になるのは、そりゃあいろいろ調べれば何か相関のあるファクターは見つかるだろうが、それが何なの?それで発表していいの?というのをつくづく感じる。論文の数稼ぎにしちゃ無責任だぞっと。

相関関係は必ずしも因果関係ではないが、こういう話が出れば因果関係と勘違いする人もいる。つまり上の話は「よく笑う子を産むために妊娠中はチョコレートを食べましょう」と誤読される恐れがあるのだ。
健康食品の類はそのような誤読を故意に利用してる気もしないではないが・・・まさか上の研究はチョコレート会社から研究費をもらっているのか?

上の話で言えば、もし陽気な妊婦にチョコレートをよく食べる傾向があるなら、チョコレートとは全く関係なく遺伝で陽気な子供が生まれたのかもしれない。つまり陽気な妊婦と陽気な子は因果関係であっても、チョコレートと陽気な子は二次的な相関関係であって、因果関係ではない。つまりチョコレートを食べても陽気な子は生まれない。
あるいはお菓子好きなのに、妊娠中にはよくないと思って我慢したストレスが子供に影響したとか、チョコレートとは何の関係もないシナリオはいくらでも考えられる。

確かに何らかの相関関係を見つけることは研究のスタートになり得ると思うが、ここで終わったらほとんど意味がない。細かい仕組みまでとはいわないまでも、せめて因果関係の有無は調べてから発表してもらいたいものだ。

しかし人間相手の場合は実証研究を行うわけにもいかない部分もあって、そのまま妙な誤解を世間に撒き散らして終わっているような気がするのがなんとも気になる。
上の例では、せめて無作為に選んだ妊婦に無理やりチョコレートを食べさせたのと、食べさせないのとで比べなくては上に挙げたようなシナリオは否定できないはずだが、そんな実験に協力してくれる人は限られるだろうし無理っぽい。

「肥満女性からは双子が生まれやすい・・・55,000件以上の出産データを解析したところ「BMIが30以上の肥満女性から双子が生まれるリスクはBMIが20-24.9の女性に比べて1.5倍高い」という結果となりました。」

この場合も調査の規模が大きいから相関関係の信頼性はありそうだが、因果関係かどうかはやはりわからない。
肥満女性をやせさせることで双子の出生率が落ちるかどうか、あるいはやせ女性を太らせることで双子の出生率が上がるかどうか、ってのが実証実験になるかな。
それにしてもそれがわかって何の意味があるんだ?多胎を避けたいならやせろって?

「妊娠時に歯科治療でX線を受けた女性の子供は低体重になるリスクが高い・・・ 非営利の歯科保険会社・Washington Dental Serviceで保管していた1993年から2000年のデータを調べたところ「妊娠中に歯の治療で0.4 milligray (mGy)以上の放射線を受けた女性の子供は、妊娠中に放射線をうけたという記録がない女性の子供に比べて低体重(5.5ポンド以下)であるリスクが2.27倍高い」という結果となりました。」

これも因果関係はわかっていないと思うのだが、「リスクが2.27倍高い」とか言われれば、歯のレントゲンは撮らない方がいいかなと思ってしまう。
実際にはレントゲンとは関係なしに歯が悪くて、十分な食事が取れなくて子供の体重が軽くなったという可能性だって考えられる。
せめて比べるなら虫歯の治療はしたがレントゲンはあえて使わなかった人、あるいは虫歯があったが治療せずに我慢していた人と、普通にレントゲンを使って歯の治療をした人とで比べてほしかった。(本当はそういうデータもあるのだったらごめんなさい)

「手術後にガムをかむと放屁までの時間が早くなる・・・子宮切除、卵巣切除やその他の婦人科手術をうけた女性64人を対象にした試験で「手術の次の日からガムをかむと、ガムをかまなかった場合より手術後の放屁が11時間早くなる」という結果となりました。」

これは因果関係といえるのかな。いくらでも実証研究は出来そうだ。
それにしても一般的に「ガムをかむとおならが出やすい」というデータがあって実験してみようと思ったのかな?それとも自分の経験からか?実験のきっかけが気になる。

「モーツァルト効果・・・モーツァルトをラットに聴かせると、海馬においてBDNF(神経成長因子)、CREB(記憶や学習に関わる物質)、synapsin I(シナプス成長因子)の発現レベルが上昇するとわかりました。」

これもよくあるな。モーツァルトを聞かせたお酒はおいしくなるとか。
しかし何でいつまでもモーツァルト止まりなんだろう?
モーツァルトの曲に含まれるどの波長がよろしいとか、どのリズムがいいとか、ラットを使うならいくらでも実証的に定量的な実験ができるだろうに。
そうでないと「へ~、モーツァルトってすごいんだね」で終わってしまうような。
そういえば以前アルファー波ミュージックとか流行ってたけど、どうなったんだろう?
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by m.ko-1 | 2004-05-06 15:00 | a la carte